蒔絵下
蒔絵を描く素材、いわゆるキャンバスは漆器が多いわけですが、じつわ、蒔絵を付けるに当たって最初にやっておくとても大切な作業があります。

特に、研ぎ出し蒔絵をするときに重要なのですが、描く面を「蒔絵下」にする作業が必要になります。
輪島の場合、この作業と最終的に艶を取る仕事をする「呂色屋」という職業があります。
勿論、蒔絵師自らがこの作業を行う場合もあります。
ここではその作業手順を簡単に説明します。

 
 


炭研ぎ
駿河炭を使って塗面を平坦に研いでゆきます。
他にも研磨剤は色々ありますが、上質の駿河炭は塗面を薄く切っていく感じで シャリシャリといい音がします。また傷も入りにくいので後の作業がとてもやりやすくなります。



塗りむらが解りますね。
この作業で、漆の塗りむらやフシを研ぎ付けます。
 
 
 炭研ぎに使われる駿河炭です。目の粗さによって使い分けたりします。
上質の物は今ではなかなか手に入りません。
 
   
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塗りむらが綺麗に無くなりました。
かい研ぎ出しなどの場合は、この状態から蒔絵の作業に入りますが、一般的はこの後の胴刷りと言う作業に進みます。
   胴刷り   
コンパウンド(研磨剤)を毛糸やモスリンに付け研ぎ面を研磨し研ぎ傷を無くします。
この作業をしっかりしておくことが、綺麗に艶上げをする基本になります。 
 

随分傷がとれたでしょ。
表面の油分を取り、蒔絵の作業に入ります。
  蒔絵作業工程 
7 艶上げ 器物(パネル)全体にに生漆を薄く引き拭き取り湿箱で乾燥。その後艶上げようの粉末を使い艶を上げていきます。この作業は2回から3回と表面が鏡面になるまで続けます。