蒔絵ってどんな物か知ってますか?
よく「巻絵」と間違われたりしますが、それとは全く違います。
主に、漆器等に施される加飾方法の事を指します。
(最近では、漆器に限りませんが。)

皆さん「輪島塗」というのは社会科の授業などで一度は聞いたことがあるでしょうが、輪島塗の加飾方法に蒔絵や沈金と言う仕事があります。
でもどんな物なんかは解らない方が多いと思います。
事実、自分もこの仕事に携わる迄は全くといってわかっていませんでしたから。

「蒔絵」と一言で言っても様々な技法があり、その全てを説明するのは難しいので、ここではその中から「研ぎ出し蒔絵」について説明します。

 
 


  蒔絵下  蒔絵を付ける前に必要な行程です。作業工程を見る 
置き目 まずは、図案を作成。その図案をクリアーファイルなどに挟みその図案の輪郭を漆でなぞり書きします。その上に美濃紙を乗せ写し取ります。

型押し それを、器物にあてがい刷毛で紙をなぞり、器物に輪郭などを写してそこに白い粉(胡粉、消粉)をつけます。

   
 
地塗り:写し取った、輪郭を漆でくり書きして、その中を。地塗り筆で地塗りをします。 
   
 

  
粉蒔地塗り部分に、金粉、銀粉、貝(細かくつぶした物)等を蒔き付けます。 
   
 乾燥:「湿め箱」と呼ばれる、中を湿らせた木箱の中に入れ、乾燥させます。【漆は湿度と温度がないとかわかんげんて。】

   

 色塗り込み:蒔いた部分に漆を塗り、また乾燥させます。
   
   

 炭研ぎ:乾いたら、今度はその部分を、駿河炭、水ペーパー等を使って表面を研磨し蒔いた物を研ぎだしていきます。
   
   

 胴擦り研ぎの作業で入った傷を、コンパウンドで研磨して傷をとります。
   
   

今度は、その上に上絵を書き、金粉を巻き付け、乾燥させ、摺り漆をかける。

摺り漆の乾燥を見計らい、研磨して金を光らせます。
 
艶上げ 器物(パネル)全体にに生漆を薄く引き拭き取り湿箱で乾燥。その後艶上げようの粉末を使い艶を上げていきます。この作業は2回から3回と表面が鏡面になるまで続けます。

このような、一連の、作業を複雑に何度も繰り返して少しずつ仕上げていきます。
言葉だけで、説明するのは、本当に難しいのですが、写真は色研ぎ出し蒔絵の行程の一部です。技法により作業工程も変わります。
 


 お得情報
 意外と知られていないかもしれませんが、自分たち蒔絵師は必ずしも輪島塗の物だけに加飾をしている訳ではありません。漆が定着する物であれば基本的に何にでも加飾できます。
勿論、個人的に器物を持ち込んで頂いても構いません。(自分の場合は)つまり、業者さんの依頼以外にも個人的に加飾をして欲しいと言う要望があればそれにお答えすることは可能です。
この場合、基本的に加飾代だけしかかかりません。
 実際、「愛用の
ライターに自分の好きな模様を付けて欲しい」とか、奥さんと揃いのぐい呑みにしたいからそれぞれに合った加飾をして欲しいと言う依頼もありました。
蒔絵は高価な物と思われている人、決してそんなことはありません。ご連絡下さればご相談にのせていただきます。
自分の仕事は漆芸絵師と言う感覚でとらえて頂いた方が解りやすいかもしれませんね。
着物暖簾、等々。今後HPにもいろいろ今までに手がけてきた物を紹介して行きますので参考にしていただきもっと身近に漆芸を楽しんで貰いたいと思います。

そして自分のあつらえ物を作ってみませんか。今まで使っていた物により一層の愛着が生まれくること間違い無しです。ヽ(^◇^*)/ 

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